• 2024年の中国から東南アジアへの輸出額は前年比12％増、地域別で最大
• 日本製が高品質の象徴であった東南アジアにおいて、中国ブランドは20年かけて信頼を獲得。EVや家電だけでなく、美容や食品分野にも進出。
• 過去5年間、東南アジアのマス価格帯スキンケア、カラーコスメ市場において、中国ブランドは年平均成長率70％、115％で成長
• 過去9年間、東南アジアの掃除機、電子レンジ市場における中国ブランドシェアは21.6ポイント、13.0ポイント上昇。高価格帯にも食い入るように。

同レポートでは、西側諸国、特に予測が難しい米国の貿易政策によって市場への参入障壁が高まる中、米国依存のリスクを軽減する動きを強めたい中国が、重要な輸出先である東南アジアにおいて、どのように攻勢を強めているかについて、家電、美容・パーソナルケア、ペットケア、加工商品、外食フードサービス、デジタルウォレット決済の分野に焦点を当てて分析しています。

中国ブランドは、もはや『安かろう悪かろう』ではない

2024年、中国から東南アジア向けの輸出額は5,870億米ドルで、前年比12％の増加となりました。この数字は、北米やEU、アフリカ向けの輸出額よりも大きく、東南アジアは、中国製品にとって最大の輸出先となっています。

同レポートの代表執筆者であるティム・チュア シニア・グローバル・インサイト・マネジャーは、次のように述べています：「2000年代、東南アジアでは『メイド・イン・ジャパン』が高品質と耐久性の象徴とされ、高価格でも受け入れられていた。一方、中国ブランドは『低価格の大衆向け商品』というイメージが強かった。しかしこの20年間で、その認識は劇的に変化した。急速な技術革新、戦略的なブランド構築、そして手頃ながら信頼性の高いスマートフォンや家電の世界的成功により、中国ブランドは着実に消費者の信頼を獲得した。現在では、家電やEV、ファッション、日用品に至るまで、中国製品は高い需要を得ており、競争力のある価格だけでなく、ますます高まる品質や洗練されたデザインによっても評価されている。」

従来、中国ブランドは、家電やEVといった、ローカライズの必要性が比較的少ない分野において優位性を保ってきましたが、現在では、美容製品、ペットフード、お茶飲料といった新たな分野にも進出しています。そのため、既存企業は、市場シェアの急速な減少を防ぐためにも、戦略を継続的に見直す必要があります。

業界によって、中国企業の成長段階は異なる
（下図：東南アジアの各業界における中国企業の市場シェア合計）

日本から中国へ：変化する東南アジアの白物家電業界

東南アジア家電市場では、戦後は欧米ブランド、1960年代から日本ブランド、80年代から韓国ブランド、2000年代から中国ブランドといったように、主要プレイヤーの変遷が見られます。中国ブランドのシェアは、2015年から2024年の9年間で、掃除機、洗濯機、電子レンジ、冷蔵庫といった製品カテゴリーで大きく伸びています。

中国ブランドは、東南アジアの家電業界において、中～高価格帯市場へと進出し、欧米や韓国ブランドの牙城を揺るがす存在となっています。この背景には、XiaomiやHuaweiといった企業のブランドの品質や技術革新に慣れた消費者が、高価格帯の中国製家電にも抵抗なくお金を払うようになったということがあります。

中国の美容ブランド、マス価格帯スキンケア・カラーコスメで大きく成長

東南アジアの美容市場、特にマス価格帯のスキンケアやカラーコスメ分野では、中国ブランドが積極的に進出し、手頃な価格の商品が地元ブランドや日本・韓国の大手ブランドに圧力をかけています。中国ブランドは、Shopee、Lazada、TikTokといったデジタルプラットフォームを活用し、国内市場で成功を収めてきたマーケティング戦略を現地の消費者ニーズに合わせて最適化することで、急速に支持を獲得しました。

マス価格帯カラーコスメ・スキンケア：年平均成長率の最も高かった企業は中国企業

当社のヤン・フー 健康・美容インサイトマネジャーは次のように述べています：

「中国の美容ブランドは、東南アジアで急速にシェアを獲得していて、とくにマス価格帯のカラーコスメ市場で顕著だ。例えば、東南アジア最大の美容市場であるインドネシアでは、マス価格帯カラーコスメ市場において、中国の主要7ブランドの合計シェアが、2019年の2％から2024年には15％以上を占めるようになっている」

更に詳細なデータや分析、家電や美容以外の分野については、レポートをご参照ください。
レポートは、以下からダウンロードいただけます。

日本語要約版：中国ブランドが塗り替える東南アジアの勢力図

英語版フルレポート：The Rise of Chinese Brands in Southeast Asia

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